
*この話はごく一部フィクションです。ご了承ください
アサリの酒蒸しを作るべく、彼らをボウルに入れて海水程度の塩水に漬けた。
心置きなく砂を吐き出せるように、玄関わきの暗がりにおいてやり、”ベッドにのってお笑い番組を見る”という、ぬくぬく世界に没入した。
さて、30分後。
「大変だ!アサリが!」という声でぬくぬく世界は強制終了。
「どうした?」と問えば、「全滅してる!塩入れすぎた」との返事。
何ですと!?
慌てて玄関へゆき、後ろからボウルを覗き込む。
どのアサリもやる気なさげに、黒々とした身をボウルの底に横たえたまま、ピクとも動かない。
砂も全然吐いていない。
死んでしまったのか。
塩辛すぎると死ぬものなのか。
それ以前に、なんでそんなに塩辛くなったのか?
おかしい。
我是瀬戸内人。
白波騒ぐ磯辺の松原に育ち、父は船乗り、母は海女。
海水など生まれる前から知っている。はずなのだが。
一通り責任を擦り付けあえども、現実は同じ。
ボウルの水は異様に塩辛く、アサリはピクとも動かない。
たぶん、アサリは塩辛いからって死なない。
「辛っ!なんじゃこりゃあ。やってられっか!」と、固く口を閉ざしてしまったに違いない。
うむ。と、意見の一致をみるも、現実は当然変わるはずもなく。
依然、ボウルの水は異様に塩辛く、アサリはピクとも動かない。
そろそろ認めた方がよさそうだ。
解決法は至って簡単なのだから。
「しかたない。このままいこう」
ガッコガッコ作られたアサリの白ワイン蒸しは、多少ジャリっとしたものの、大変おいしゅうございました。
# by yumehito2002 | 2012-04-19 22:48 | Trackback | Comments(0)






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